
『カレントアウェアネス-R』(2008年11月05日号)によれば、「オバマ氏は、2005年の米国図書館協会(ALA)の年次大会で演説し、「図書館は常に、より大きな世界へ繋がる窓であり続けてきた。図書館は、米国の歴史を前進させる手助けとなるような大きなアイディアや深遠なコンセプトを見つけるためにわれわれが訪れる場所であり続けてきた」と聴衆に訴えました。また2004年には、米国愛国者法(PATRIOT ACT)に対する懸念を示しています。このように、オバマ氏は図書館界に有利と判断できるような発言をしてきました。」という。しかし、ALAの関係者は、オバマ氏に対して一定の期待を寄せながらも、今後も積極的に図書館の重要性をアピールしていくことに変わりはない、と答えていたということである。
わが国では、小泉政権から8年間、総選挙を前にしてバラマキ政策が行われようとしている。バブルの崩壊によって日本の金融市場が危機に陥った時、政府が莫大な公的資金を投入して、銀行再編を促しながらこの金融危機を乗り越えたと麻生首相は自慢している。きょう(11月5日)のNHKでは解説委員が首相の言葉を無批判的に、今回のアメリカの金融危機に対して日本を見習うべきだというようなことを言っていた。
しかしその陰で、労働法制の改悪によって大企業は空前の利益をあげた。そしてその結果、働く者たちの中に格差が生まれ、ワーキングプアが現出した。また、三位一体政策によって都市と地方の格差が増大し、国民生活のセーフティネットが脅かされている。
図書館の委託や指定管理者制度、PFIの導入はこの流れの中でおこなわれ、公的機関の責任放棄が教育や福祉といったセーフティネットを破壊してきた。小泉内閣から8年、日本の国民もこのあたりで目覚めて、新に国民を幸せにしていく政治を手に入れ、「八年間の軛」から解放される努力が求められているのではなかろうか。
また、日本でもオバマ氏のような図書館に理解を持った首相を望むところだが、図書館はそのために何をなすべきなのか考え、行動することが求められているのだと思う。
(東京支部 大澤正雄)