私の兄も自分史を出して、東京周辺と戦時中徴用で行った岡山の図書館などに寄贈した。兄は昭和2(1927)年生まれであるので、戦中戦後が青春時代だったのである。
第2次世界大戦という未曾有の混乱した時代を少年から青年の目で見、体験した経験はまさに庶民の歴史である。
ただ、図書館は寄贈資料に対しては甚だ冷淡である。目録データのないものは受け入れないという図書館もあると聞く。
あの苦しい時代を子や孫に語り伝えたいという素朴な思いで書いた人から、昭和の歴史を書こうという人までいろいろいると思うが、公立図書館がこれらの歴史資料を集め、後世に引き継いで行くことは大事なことだと思う。
天皇や高官・作家などの日記なども大事な資料だろうが、公刊されたものだけでなく、雅拙な生々しい文章の私家本は一級の資料と言えよう。
ビジネス支援や医療支援などのトレンドな要求にばかり目を奪われることなく、100年先の資料構築を考えた運営も必要かと思う。
(東京支部 大澤正雄)
故人の追悼文集なども、プライバシー上問題がなければ、地域の図書館としては寄贈いただく資料だと考えています。
ただ、公共図書館にはびこる「貸出至上主義」的な観点からみれば、「誰がそんなもの借りるのか。貸出が見込まれない資料を、わざわざ手間暇かけて受け入れる必要はない」と判断されるところも少なくはないでしょうね。
※寄贈資料に関しては、自館で装備やら書誌データやらをつくらなければならないので、装備済み資料や購入MARCでの受け入れに慣れてしまうと、けっこう面倒がられるんですよね。
ただ、公共図書館でなく、資料館じゃないのか...という意見もありますが、資料館がどこの自治体にもあるわけではないですし...。