2009年06月08日

我是愛国館員

 静岡県は浙江省と友好提携を結んでおり、2007年はその25周年ということで各種交流事業が行なわれました。図書館関係では、浙江省の浙江図書館から静岡県立中央図書館に職員が半年間研修で派遣されて来ました。

 近年、中国では大都市に非常に大規模な図書館が数多く建設されています。大都市にふさわしい大図書館を、といった考え方から文化施設としてのモニュメント的要素が重視されているようにも感じられます。

 浙江図書館も大変大きな図書館で、とりわけ古典籍の収集では中国で五指に入るといわれています。浙江図書館は、図書館の面積、資料点数、専門職員数などの点で静岡県立中央図書館の数倍の規模で、職員の専門性も確保されており、正直なところ研修に来てもらっても学ぶところなどあるのだろうかと思ったものです。

 研修にいらしたYさんは大変優秀な方で、「日本の図書館統計や電子資料収集には準拠すべき全国的規準が策定されているか?」といったすぐには答えられないような鋭い質問もされていました。

 研修の最後に日本の図書館についての報告を発表してもらいました。大都市圏以外にも全域サービスがある程度進んでいる点や、相互貸借の体制が県域で整備されている点などが日本に学ぶべき点として認識されているようでした。
 日本の図書館について提言することは?との質問に、予算上の問題で製本できていない雑誌の例をあげ、「日本は図書館にもっとお金をかけたほうがいいです」との言葉があり、職員一同深くうなずいてしまいました。

 そして、日本の図書館で最も印象に残ったことは何ですか?との質問には、職員が大変まじめで誠実に仕事をしていることをあげました。これは学ぶべき点としてもあげられていて、正直なところ職員の態度ぐらいしか学ぶべき点を見出せなかったのではないか、とも思ってしまったのですが……。
 職員がまじめに仕事をしているという印象は、繰り返し述べられていたので、あながちお世辞でもないようです。これは中国と日本との労働観の違いもあるのかもしれません。中国では仕事は定時に終わらせるもので、残業するのは生産性が低いと見られるという話も良く聞きます。私の職場も残業している職員は多いですから、それがまじめな仕事ぶりと受け取られたのかもしれません。

 そして、このような誠実な仕事ぶりを評して、Yさんは発表の際に「日本の図書館員は大変まじめで愛国的である」と述べました。私はこれを聞いて、地方自治体の職員だから「愛郷的」(愛自治体的?)ではあっても「愛国的」という仕事上の意識はないなー、と思いました。
 日本では「愛国的」という言葉はある種の政治性をもちますが、中国では国民と統治機構の峻別という考え方は一般的ではなく、まじめに仕事をする公務員が素朴に愛国的と賞賛されるのでしょう。
 一方、アメリカでは図書館員が「愛国者法」との闘いを繰り広げていますが、ヴォネガットに言わせれば、「私の愛するアメリカ」を防衛している真の愛国者は図書館員だということになるのかもしれません。

 図書館問題研究会やその会員をサヨク的だと認識している方もまだ一部にいらっしゃるかもしれませんが、これからは「これでも愛国的図書館員と呼ばれたこともあるんですよ」って言おうかしら。

(静岡支部 新)


posted by 発行人 at 10:56 | Comment(0) | リレーエッセイ | 更新情報をチェックする
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