「大阪国際児童文学館のこれからを考えるシンポジウム」に参加してきました。主催は「大阪国際児童文学館を育てる会」です。
会場は、児童文学館に思いを寄せる人たちで連休最終日にもかかわらず一席の余裕もないほどびっしり埋まっていました。
以下、3時間ありましたシンポジウム内容の報告です。
1部:「陳情書」について提出および経過報告
「大阪国際児童文学館を育てる会」常任委員長畠山兆子さんより、8月24日に『大阪府立国際児童文学館の「旧夕陽丘図書館」(現大阪府立特許情報センター)への移転(提案)についての陳情書』提出に至るまでの経緯が話されました。
大阪府議会では、今年3月24日の本会議で廃止条例と資料移転経費5億8,700万円の予算案が付帯決議をつけて可決され、大阪府立中央図書館への移転が決まりました。
しかし「育てる会」としては、児童文学館が図書館にない機能を有する独立館であること、貴重な資料の分散をさせないこと、現在も府によって移転準備が進行しているので、早急に予算執行の差し止めを図る必要があるなどから、上記の陳情書を提出したとの説明がありました。
<陳情の内容>
1.大阪府立中央図書館へ移転するより「旧夕陽丘図書館」へ移転すれば、10年後には累計10億円の経費節減になります。
2.「旧夕陽丘図書館」は大阪市の中心部にあり、東大坂にある「大阪府立中央図書館」に比べて、圧倒的に利便性が高くなります。
3.「大阪府立特許情報センター」と「大阪府立国際児童文学館」の入れ替えを望みます。
2部:シンポジウム
まずパネリストのうちお二人が大阪の文化についてお話をしてくださいました。
島田陽子氏(大阪在住の詩人『大阪ことばあそびうた』など多数)は、大阪弁について、また、ご自身の詩集から詩を読んでいただきました。大阪の文化を守っていく必要性について、ユーモアを交え、しなやかに語られました。
アーサー・ビナード氏(米国ミシガン州生まれの詩人『日本語ぽこりぽこり』など)は、児童文学館は夕陽丘の場所にふさわしいということを、夕陽丘にある口縄坂(口縄とは大阪の古い言葉でへびのことです。坂の下から眺めると蛇に見えるのです)にまつわるお話など、ユーモアを交えた語りでお話しいただきました。
次に、なぜ夕陽丘図書館へ移そう!なのかについて、脇谷邦子氏(同志社大学嘱託講師、元大阪府立図書館司書)から、氏が試算した資料などから経費節減になる理由、また、なぜ旧夕陽丘図書館がよいのかのさまざまな理由が説明されました。
なぜ「旧夕陽丘図書館」への移転がよいのか?
・広いスペースがある(敷地面積2,736u、延べ床面積6,455u(現児童文学館は約3,500u))
・十分な書庫がある(現児童文学館の2倍強2,400u)
・アクセスが良く、住宅地のど真ん中(最寄駅は地下鉄2路線、近鉄線、市営バス数路線)
・府立中央図書館にとっても書庫増築費用が大幅に削減される(府立中央図書館に統合されれば書庫の増築費用が必要)
・移転の3大メリットとして
1.独立性が保たれる
2.経費節減
3.利用者の大幅増(アクセスが良く、学校などが近くに多い)
3部:参加者との意見交換
参加してみて、図書館とは違った機能を持っている「大阪府国際児童文学館」を子どもの未来、そして大阪の文化のためにも守らなければと改めて強く思いました。
この9月議会でぜひ良い方向に向いてほしいです。
書庫をご覧になった方はよく分かると思いますが、あの貴重な資料を散在させてはならないし、その研究機能をなくしてはいけないのです。
シンポジウムの最後に「育てる会」から、全国の多くの方からいただいたカンパによる資金も、これまでの活動で底をついたというお話がでました。
これからもいろいろな企画をして、あきらめずに活動を続けて行きたいということで、引き続きご支援いただけないかというお願いがありました。
ご支援いただける方は、下記までどうぞよろしくお願いいたします。
郵便振替 口座番号 00920−6−86636 口座名 大阪国際児童文学館を育てる会
事務局 大阪府吹田市出口町34 C5−103 野々上律子方