1つ目は分類です。
日本では日本十進分類法(Nippon Decimal Classification)がよく使われています。
NDC(よくこのように略します)は、0から9までの数字を使って出版物を分類するというものです。
出版は人間が興味を持つあらゆる分野で行われていますから、NDCは森羅万象を分類しようというものと言ってよいでしょう。
2つ目は件名です。
件名とは、資料の主題や形式を表す言葉で、使える言葉が決められています。
件名があれば、タイトルではわかりにくい本の内容を把握することができます。
伝記などでは、主人公から検索できます。
分類と件名を使って、司書は質問を分析・検索し、本および情報を提供していきます。
無論、求める情報は本にだけあるのではなく、新聞記事や雑誌論文、現在ではウェブに掲載された生情報まで探す必要があります。
質問者にインタビューをしながら、その館の蔵書構成の中だけでなく、都道府県立・国立国会図書館の資料やウェブ情報を視野に入れつつ、どのような戦略で探索すべきかを司書は、考えるわけです。
そういった様々な図書館・情報を俯瞰した視点から把握していく技術は、分類や件名を理解しただけでは手にすることはできません。
選書という仕事を通じて、学んでいくことが必要です。
毎日出版される本を確認し、カウンターでのやり取りから感じられるニーズや利用状況を踏まえて蔵書を構築し、またその結果から改善していくという繰り返しの中で鍛えあげていくのです。
したがって、カウンターや書架整理(排架・除籍)という業務なしには選書はできませんし、そのサイクルを分断してしまっては図書館の仕事が回らなくなるのだと思います。
仮説実験のようなものです。
カウンターでのニーズの把握(仮説)→選書での蔵書構成への反映(実験)→書架整理(排架・除籍)での利用の実証確認(検証)・・・を繰り返すことで、時代の変化に合わせて蔵書を変えていくことが可能となるのです。
そういった意味で、司書は自ら考え、学び続ける力が不可欠で興味深い仕事です。
司書には旺盛な好奇心が必要だと思います。
他人の「知りたい」という要求に応じて、ベストと思われる資料を探す技術には、ひとつには「共感力」が必要です。
もうひとつは今持っている知識を疑い、別な何かがあるかもしれないと、謙虚に探索する好奇心が必要なのです。
最後に、図書館で働いていてとても感じることは、司書の仕事はチームでやる仕事だということです。
一人のスーパー司書がいても良い図書館ではないのです。
資料の新陳代謝を繰り返しながら次の世代へ資料をつないでいく図書館では、自ら考える力をもった司書が必要で、カリスマ司書のイエスマンがいくらいてもダメなのです。
蔵書の構築やレファレンスは個人プレーで終わらせず、チームとして、司書が集団として育っていく環境が良い図書館の条件だと思います。
(W.Y.)