さて、図書館のマイクといっても、あなたの図書館にはないかもしれません。しかし、ちょっとした規模の会議室や集会室があれば、そこにはマイクのセットがあると思います。もっとも、やはり、だいたいの図書館では、使用する機会はあまりないところが多いのではないでしょうか。
そんななか、いざ、マイクを使用するとなると、トラブルが起こることが多いのです。なかでも、ワイヤレスマイクには、気をつけなければいけません。
ワイヤレスマイクに関してよく起こるトラブルのなかには、電池の電圧低下による不具合があります。
このトラブルは、図問研の全国大会でも何度か起こっています。この不具合のやっかいな点は、音が途切れ途切れになってしまうことです。マイクの音声がいきなり全く聞こえなくなるということにはならないので、かえってわかりにくいのです。
この対策は、きわめて簡単です。私は以前、1,000席規模のホールを併設する公民館に勤務していたことがあるのですが、そのホールを管理する音響の業者さんは、行事の本番のたびに、新しいアルカリ電池をワイヤレスマイクにセットします。(しかも、新しい電池でもその都度、チェッカーで電圧を確認されます。新しい電池でも放電していてはいけないということです。)
つまり、使う前に新しい電池に替えれば、それで済むことなのです。
図問研の全国大会では、どうして、ワイヤレスマイクの不具合が起こってしまうのでしょうか。ある時は、マイクの中にマンガン電池が入っていました。(しかも、どういうわけかセロハンテープで止めてありました。)
また、ある時は、充電式電池が入っていました。この時は、ホテルの人から、「充電したはずです」って言われましたけれど、電池を替えたら、きちんと音が出るようになりました。もともと、充電式電池は乾電池よりも電圧が低いので、ワイヤレスマイクに使うものではないと思うのですが・・・。
行事を開催している側から考えると、音響機器使用を前提に有料で施設を利用しているのですから、電池は、きちんとマイクに入れておいてほしいのです。マイクにマンガン電池が入っていたホテルの向かいのドン・キホーテでは、単3のアルカリ電池4本が99円で売られていました。いったいどれほどの費用の節約のために、せっかくの行事が水を差されることとなってしまったのでしょう。
あなたの図書館でマイクのトラブルが起こらないようにするには、行事の本番の前に、ワイヤレスマイクの電池を新しいもの(もちろんアルカリ電池)に取り替えるだけで、かなり防げるはずなのです。(ここまで読んで、「そんなことを言っても、電池の無駄使いではないか」と思われたあなた、けっしてそうではありません。まだまだ使える替えたほうの電池は、もちろんそのあとほかで使うのです。)
もっとも、ワイヤレスマイクというものは電波を使いますので、電池以外が原因のトラブルも発生します。ご近所の商店の安売りの案内と混線することもありましたし、テレビの取材が入った時にノイズが発生したこともありました。有線のマイクで用が足りるのであれば、ワイヤレスマイクは使わないほうが良いのです。そもそも、有線マイクなら電池も使わないですみます。
最後に、私は音響について詳しく知っているわけではありません。いままでの経験をもとに書いておりますので、誤りなどがありましたらご遠慮なくご指摘ください。この文章が行事などの円滑な運営の参考になれば幸いです。
(広島支部 高野淳)