2010年11月30日

図書館道徳経序 その2

養身第二
天下皆知美之為美、斯悪巳。皆知善之為善、斯不善巳。
有無相生、難易相成、長短相形、高下相傾、音声相和、前後相随。
是以聖人処無為之事、行不言之教。万物作焉而不辞。生而不有。為而不恃。功成而弗居。夫唯弗居。是以不去。

一般の利用者は、その時々で流行っているもののみを求めるものだが、それだけで図書館コレクションを形成しようとしてはいけない。また、その時に正しいとされたことが書かれたもののみを求めて、批判したものを排除しようとするが、それも正しくない。

ある意見にはかならずその反論が生じる。結局同じ事が書いてあるからといって、簡単な解説書だけでは十分ではないし、専門書だけあってもしかたがない。冗長な原典は利用されないからといってダイジェスト本だけを揃えても意味はないし、高尚な文学も通俗な小説も等しく図書館として必要な資料である。声高な主張が真理であるわけではない。時間的にすべての主張を体系的に揃えることによって、新たな発見がなされることもある。

それゆえに、真の図書館人は一見「選ぶ」わけではなくただ漫然と平等に集めているように見えて、長い目で見れば素晴らしいコレクションを作り上げる。それらについて、いちいち説明はしないし、そのコレクションを絶対のものとして変えようとしないと謂うこともない。将来的な結果というものをよくわきまえているので気負うこともないし、その結果を無意味に誇ることもない。とはいえ、決して自信や信念をもっていないのではないので、その収集方針に揺らぐところもない。

安民第三
不尚賢、使民不争。不貴難得之貨、使民不為盗。不見可欲、使民心不乱。是以聖人治、虚其心、実其腹、弱其志、強其骨、常使民無知無欲、使夫智者不敢為也。為無為、即無不治。

価値論に重きを置くことがなければ、選書基準は明確になるだろう。十分な資料費を付けて複本購入に努めるならば、延滞や紛失も恐れることではないだろう。資料提供の要求に徹するならば、利用者の信頼を得るだろう。このように、真の図書館人による選書は、一見選んでないように見えて、利用者の満足度を高め、図書館や図書館員のエゴや独善を廃して図書館コレクションを豊かにし、利用者の強い信頼を得てかえって予約・リクエストを減らすことができる。要求論に徹することが、利用を増やすための第一歩なのである。

(つづく)

(T.T.)


posted by 発行人 at 17:53 | Comment(0) | リレーエッセイ | 更新情報をチェックする
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