2011年02月14日

どこにいても勉強は必要…

研究集会に参加のみなさん、お疲れ様でした。
昨年、再出発したばかりの鹿児島支部では、昨年暮れに中沢委員長から「鹿児島から誰か発表しませんか」と声をかけていただいたのがきっかけで、和泊町立図書館の芋高さんが発表者として参加しました。


和泊は、鹿児島の南方、徳之島と与論島にはさまれた温暖な島・沖永良部島の北半分にあたる町です。奄美群島ではいちばん最初にできた町立図書館で、30年になります。かつては、日本図書館協会から「農村のくらしと学習・情報要求 和泊町(奄美群島)図書館社会調査報告」という本が出版され、注目されたことがあります。(「アリストテレスな時間」http://blog.livedoor.jp/hanaichisan/archives/51597575.html#というブログに紹介されています)

芋高さんは、開催地の徳島の出身です。 和泊出身の方と東京で出会い結婚、島に帰り、学校図書館に5年間勤務したのち、和泊町図書館に異動しました。いずれも、臨時職員です。ともんけんウィークリーに研究集会が告知されたときから、ふるさとで開催される集会に参加できたらいいなあ、と思っていたそうですが、休暇と旅費の両面で無理、とあきらめかけていたそうです。

芋高さんは、はっきり言いませんでしたが、旅費だけで1ケ月の収入をオーバーしているはずです。(日・月の研修会に参加するのに、金曜日には沖永良部を船で経ち、沖縄へ、翌日沖縄から神戸へ飛行機で入り、神戸から高速バスで徳島へ入ったのだそうです)

しかし、せっかくのチャンスです。旅費に関しては、鹿児島支部のメンバーにも支援を呼びかけ、発表内容については、町の教育委員会の方にもアドバイスいただき、今回の発表が実現しました。発表のときも、「会場の皆さんが優しい眼差しで見てくださっているのを感じとり、また発表が終わってから声をかけてくださる方々がいて嬉しく有り難く思いました」とのことです。

全国からの参加者との出会いは、これからの彼女の大きな財産になるでしょう。
会場で募った奄美のカンパも、たくさんの協力をいただいたとのこと、ほんとうにありがとうございました。

芋高さんは、福岡で開かれた図問研の全国大会に参加して、全国には、こんなに熱心に図書館のことを語り合える仲間がいるのだということを知り、大感激しておりました。しかし彼女の待遇を考えると、私も図問研に誘うのを躊躇していました。でも、今回故郷での研究集会に発表者として参加することができて、無理しても誘ってよかった、と思っています。

私自身も、はるか昔ですが、京都の図書館で働き始めたころ、司書というものは、日本図書館協会と図書館問題研究会には入るべき、と先輩に誘われた経験があります。夫の仕事の都合で鹿児島に移った直後に図問研の研究集会で発表しました。研究集会は、こじんまりとして、参加者全員の顔が見える規模で、いいなあ、と思っています。学会と違って、会場の雰囲気がとてもあったかいです。

ちなみに、昨年は、指宿の下吹越さんにけしかけて(?)発表してもらいました。あのときの発表は、とても時間が足りなかった、という下吹越さんの話を受けて、いっそ1冊の本にしようと、1年がかりで取り組みました。すでに、初校が出ましたので、地元の南方新社からもうすぐ出版できます。タイトルは「私たち、図書館やっています」。異色の本です。指宿の温泉みたいに温かい本です。期待してください。

しかし、鹿児島県内では、毎年指定管理者の導入がすすんでいます。直営でも、芋高さんのように、最低賃金すれすれの臨時の司書が図書館を支えています。指宿のように、NPOが指定管理者となっているところは、直営の頃臨時職員だった司書が、それよりは少しだけいい待遇で、責任も重いけど、楽しみながら仕事に取り組んでいます。でも、民間会社が指定管理者になっている図書館は悲惨です。

先日も、この4月から、某大手の会社が指定管理者になる出水市立図書館の求人が「われわれの館」に出ていましたが、時給680−840円だそうです。出水市立図書館で実習をして、ここで働きたいとねがっていた学生が、これでは短大時代に借りていた奨学金の返済もできないと、司書への道を断念しました。とても優秀な学生で、司書資格を取るために、私のところに進学してきただけに残念です。(わが短大では、学生が中心になって、作家を招いて講演をしてもらうプロジェクトをやっています。企画や作家さんとの交渉、ポスターやチラシ、ホームページでの宣伝、当日の設営、パワーポイントによる講師紹介、進行、質疑応答などすべて、学生がやります。彼女は、2年間そのプロジェクトの中心メンバーでもありました。)

直営でも、指定管理者でも、委託でも、せめて 奨学金を返せて、日本図書館協会や図問研にも参加できて、できたら年にいちどぐらいは、全国的な研修に参加できるぐらいの待遇を、と願うのは贅沢なのでしょうか。

(鹿児島国際大学短期大学部 種村エイ子)


posted by 発行人 at 15:28 | Comment(0) | リレーエッセイ | 更新情報をチェックする
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