被災地の中で、図書館員は懸命に働いています。震災で多くの困難に直面し、今も図書館を離れ避難所運営や役所の業務にかかわる司書や職員も多くいます。
図書館の被害も甚大でした。図書館や役所が全て津波に呑まれた町や、図書館は開館したものの被災した資料の後片付けや分館・分室、図書館車が津波に呑まれた事例、図書館が避難所になっている事例なども報告されており、依然として通常業務に戻るまでには相当の時間を有すものと思われます。
さらに、福島では原子力発電所の事故によって多くの方がふるさとを奪われ、県内外の市町村へ避難する非常事態が継続しており、図書館も通常開館どころではないのが現状です。
現在も、私たちがかつて経験したことのない事態が続いています。このことを決して忘れず、被災地で懸命に働く仲間たちに思いを馳せ、遠く離れている私たちに何ができるかを引き続き考えてください。みんなで知恵を出し合い、復旧・復興の手助けをしてゆきたいと思います。
図書館問題研究会では3月20日に会員に対し「東北関東大震災に寄せて」として震災における図問研の考え方を発信しました。震災4カ月目である第58回全国大会に際し、会員に改めて呼びかけます。
1 被災した人たちとともに図書館に何ができるのかを考えてください。
2 義捐金の募集は引き続き行いません。個人や職場で様々な支援活動に協力ください。
3 被災した会員に2011年度会費の免除を行います。
4 被災した図書館への情報提供や復興の手助けをしてゆきます。
5 被災地の県教育委員会に「図書館復興計画」を策定してもらうよう要請します。
6 被災者に対し、生きるための各種情報や心のケアに関する資料等の提供をきめ細かく行ってください。
7 電力不足を理由に休館をせず、様々な工夫を行い極力開館して住民への情報提供に努めてください。急な停電になった際の対処も考えてください。
8 震災被害者に関する地域資料を網羅的に収集、提供してください。また、被災者・避難者を受け入れた自治体は、その記録や関連の情報(新聞記事・広報等)を収集し、被災自治体に提供をしてください。
9 過去の災害史を調べるための地域資料を収集し一層の活用に努めてください。また、関係機関と広く連携し、住民を守る防災教育や危機管理のための情報収集、情報提供を行ってください。
10 地震や津波、あらゆる自然災害を想定し再度、自館の防災対策の見直しを進めてください。
帰宅困難者、避難者への支援策も立案ください。
11 住民が切実に求めている原子力や放射能、原子力発電に関する正確で多様な情報を収集、提供してください。
12 資料提供や集会機能を通じて地域住民が求める情報を提供してください。インターネットを利用できない住民もいることを考え、情報提供の方法を工夫してください。さらに、図書館が「地域の情報拠点」であることのPR強化に努めてください。
13 みなさんが得た被災地の情報や被災者の声を多くの人たちに伝えてください。
2011年7月11日
図書館問題研究会
委員長 中沢孝之