2006年、映画「フラガール」をみて、蒼井優や松雪泰子、南海キャンディーズしずちゃんたちの見事なダンスにあこがれました。なお、映画の舞台になった「スパリゾートハワイアンズ」は東日本大震災のため休館していましたが、10月1日から再開され、休館のあいだ全国各地を公演していたフラガールたちが戻ってきました。ぜひ見に行きたいと思っています。
直接のきっかけは、2007年に労働組合の親睦行事で一日フラ教室に参加したことでした。そこでみたフラの優雅さに心をつかまれました。どうしてもあんなふうに踊ってみたいと思い、入門をお願いしました。先生がちょうど映画の松雪泰子のようなきりっとした美人で、図書館の採用面接と同じくらい緊張したのを覚えています。意外にあっさりと生徒にしてもらえたのですが、ここからが大変でした。
先生のように踊ってみたいとは思ったものの、図書館と組合役員の仕事でいっぱいいっぱいで、フラは息抜きの習いごとという意識が抜けず、月2回の教室で楽しく踊れればそれでいいやと、なかなか自宅で練習する気持ちになれませんでした(正規司書の採用問題を何とかしたいと組合役員をやっています。この話はまたいつか…)。
「たかが習いごとだと思うかもしれないけど、本気を出して!」「あなただけが動きを覚えていない、身体の使い方が違う!」としょっちゅう怒られてばかりいました。レッスンの帰りには半泣きになっていることもよくあります。群舞で踊るので、一人が間違えるとみんなの足を引っ張ってしまいます。発表会やイベントの前には自分たちで場所を借りて自主練習をします。そこでは、ずっと年下の若い人からもダメ出しがあります。
自分の努力が足らないからできないのに、いやになってもうやめたいと思うこともありましたが、先生と仲間に支えられ続けてこられました。図書館の窓口で市民から受ける苦情は仕事の改善のヒントになります。それと同じように習い事をとおして、いい大人の私を叱ってくれる人がいるのはとてもありがたいことだと思います。
ある時気がつくと、ずっとできなかった「花」を表す手の動きができるようになっていました。自分にもできると思うとうれしくて、家でも繰り返し練習するようになりました。練習で踊っていると仕事や組合のことを考えず踊りに集中するので、忙しい時ほどいい気分転換になることもわかってきました。
ようやく「花」はできるようになったのですが、4年たっても一番基本の腰の重心移動ができないままです。53年間で身につけた身体の癖はなかなか頑固なものです。あきらめずに練習あるのみ。
私がただひとつ先生からほめられることは、舞台で笑顔がでることです。気分良く図書館を利用していただきたいので、カウンターでは笑顔でと言い聞かせてきたのが活きているのかもしれません。
(西宮市立鳴尾図書館 島崎晶子)