
◆◆目次◆◆
特集:震災と図書館
特集にあたって 編集部 08
東日本大震災―震災の影響を考える 中沢孝之 09
東日本大震災「地震・津波・原発事故」―未曾有の事態発生でこの国の問題があきらかになった。このとき、私たちは何をするべきなのか? 西河内靖泰 16
関東の図書館員が見た東日本大震災とsaveMLAK 藤巻幸子 22
図書館問題研究会第58回全国大会案内 01
連載:
図書館ノート―6 あなたはなぜ司書になりたいのですか? 山口真也 27
出版産業時評―6 東日本大震災と出版メディア そして私的出来事 長岡義幸 31
アメリカの図書館は、いま。―55 人々の記憶を残すために。 井上靖代 38
マスメディアの現場から―75 私たちのおごりと油断 拮抗する言葉を探して 佐々木央 44
ほん・本・Book:
『
イタリア学習社会の歴史像』 細井正人 52
『
学校ブックトーク入門』 中山美由紀 56
各地のたより:
兵庫発=講演会「
今、公共図書館を考えるPart2 住民とつくる図書館―図書館づくりは街づくり―」を開催して 椛山三佐代 59
図問研のページ:
図書館問題研究会第58回全国大会分科会のお誘い 62
「図書館利用に障害のある人へのサービス」交流のページ 本を読みながら居眠り…ではないのかもしれません。 椎原綾子 71
非正規職員のための交流のページ 臨時職員が日本図書館協会の評議員となって 清水明美 72
東北関東大震災に寄せて 中沢孝之 76
財政部より被災地の会員のみなさまへ 77
5月号訂正 61
第9,10回常任委員会の記録 77
会員異動/編集後記 80
イベントガイド:
九州図書館非正規職員交流会[きゅひこう]2 06
学校図書館を考える全国連絡会第15回集会ひらこう!学校図書館 21
Crossword Puzzle;324 26
◆◆特集にあたって◆◆
東日本大震災により被災された皆様にお見舞い申し上げます。
今回の特集は「震災と図書館」です。
3月11日14時46分頃に、三陸沖を震源とする東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)が発生しました。マグニチュード9.0という、千年に一度といわれる大地震でした。そして、東北地方を中心に「想定を超えた」大津波が襲い、甚大な被害を及ぼしました。テレビに映し出される津波の映像を見ながら私たちは言葉をなくしました。
東京都を中心とした首都圏では、地震発生当日、ほとんどの交通機関がストップし、12万人を超える帰宅困難者が発生し、遠距離を歩いて帰る人たち、なかには大学、コミュニテイ施設、図書館などの公共施設で一夜を過ごす人たちもいました。
また、福島第一原子力発電所が壊滅的打撃を受け損傷し、チェルノブイリ事故に匹敵するほど深刻度の高い事故であることを政府も認めざるを得ない事態となりました。現在も最悪の事態を回避するために対策が進められていますが、今後も予断を許さない状況にあります。
東京電力は電力が安定供給できないとの理由から、「計画停電」なるものを実施しました。そのため、交通機関のダイヤが大幅に乱れたり、多くの商業施設等が営業自粛せざるを得ない状況になるなど、日本の経済活動に大きな打撃を与えました。4月半ばになり、現在は「計画停電」も行われなくなりましたが、東電や経済産業省は電力需要が高まる夏場には更なる節電が必要と言っています。
このようなとき、私たち図書館員や図書館は事態をどう受け止め、どのように現実に対応していけばよいのでしょうか。このことについて常任委員会で論議し、それを受けて中沢委員長から、
私たちにいま何ができるのかを精一杯考えてほしいとの図問研のメッセージを送りました。 本号の特集では、危機管理に詳しい中沢委員長から東日本大震災がもたらした図書館への影響について、また、永年反核運動に取り組み原発問題にも詳しく、図書館の自由と資料提供の大事さを追求してきた西河内副委員長から原発事故で混乱する社会へ図書館が執るべき姿勢について提起をしていただきました。
また、今回の震災では、震災直後から、「
ともんけんウイークリー」やメーリングリストなどで情報共有がされてきました。Twitterなども含めインターネットを使ったツールで情報共有ができたことは、阪神大震災のときと大きく違った点ではないでしょうか。特に、博物館・美術館、図書館、文書館、公民館の関係者や支援者等の有志が運営する「
saveMLAK―博物館・美術館、図書館、文書館、公民館(MLAK)の被災・救援情報サイト」の活動は注目されています。この活動について、藤巻さんに書いていただきました。
震災から一ヶ月以上経った今も多くの方が避難を余儀なくされています。一日も早いこの危機的状況からの脱却と復興を心より祈っております。
(編集部 文責:稲場雅子)